【事業復活支援金】何で通帳とか売上台帳がいるの?【事前確認】

東京・赤坂の司法書士・行政書士アデモス事務所の代表・中村です。今日は、事業復活支援金の事前確認の際に、「売上台帳」や「通帳」「請求書・領収書等」が何で必要なのかを整理しました。

(このページは、もともと一時支援金・月次支援金についての投稿でしたが、事業復活支援金の申請者用に内容を修正いたしました。事業復活支援金の最新情報は、こちらをご覧ください。事業復活支援金でも使える売上台帳エクセルをこちらで配布中です。


登録確認機関が「事前確認」でしていること

まず、これから事業復活支援金の申請をしようと思っている方に、知っていただきたいのは、登録確認機関が「事前確認」で行っているのは、申請者が事業復活支援金の対象者かどうかなのではなく、「申請者が実際に事業を行っているかどうか」「事業復活支援金の制度について、理解しているかどうか」です。

これは、登録確認機関向けに中小企業庁が出している文書にも、このように明記されています。

事業復活支援金の給付に当たっては、不正受給や給付対象を誤って理解したまま申請してしまうことへの対応として、復活支援金の申請を希望する者(以下「申請希望者」という。)が、「事業を実施しているか」、「新型コロナウイルス感染症影響を受けているか」、「復活支援金の給付対象等を正しく理解しているか」等について、事務局が登録した機関・者(以下「登録確認機関」という。)によって、帳簿等の予め定めた書類の有無や宣誓内容等に関する質疑応答等について形式的な確認(以下「事前確認」という。)を行います。なお、登録確認機関は、あくまで定められた手順にしたがって形式的な確認を行うものであり、当該確認内容を超えて、申請希望者が給付対象であるかどうかの判断は行いません

2 0 2 2 年 1 月 18 日 中小企業庁長官官房総務課「事業復活支援金における事前確認への協力依頼」

2020年に最初の緊急事態宣言後に実施された「持続化給付金」では、424万件、総額5・5兆円の支給がされましたが、不正受給が発覚し、延べ2万件以上159億円が返還されるという事態になっています。(家賃給付金では1079件、8億円)今回の「事業復活支援金」の実施にあたっては、一時支援金や月次支援金と同様に、あらかじめ専門家のチェックを通して、事業実体のない者からの不正な申請を未然に防ぐという体制がとられることになりました。そのための制度が、登録確認機関による「事前確認」の制度です。

「通帳」や「帳簿書類」を確認するのは、マニュアルがそうなってるから

登録確認機関には、経産省から配られた「事業復活支援金に関する事前確認マニュアル」に従って、事前確認をすることが求められています。また、このマニュアルに従って確認をすれば、仮に自分が事前確認を完了した申請者が後に不正な申請だったことが発覚をしても、責任を問われないことになっています。これが、登録確認機関が、皆さんに「売上台帳」や「通帳」の提示を求める理由です。

上にリンクをはったマニュアルのチェック項目に以下のような記載があります。

5.申請希望者の事業に関する書類の有無を確認してください。

□収受日付印の付いた、以下の期間分の確定申告書の控えの有無:
・(中小法人等の場合)2019 年 11 月、2020 年 11 月、基準期間を含む全ての事業年度
・(個人事業者等の場合)2019 年、2020 年、基準期間を含む全ての年分

□ 2018 年 11月から対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書等)の有無

□ 2018 年 11 月以降の全ての事業の取引を記録している通帳の有無:

6.基準月及び2018年11月から対象月までの中から任意に選んだ年月(登録確認機関側で選択)について、それぞれ以下を確認してください。
□ それぞれの期間について、任意に選んだ 1 つの法人等との取引に関する請求書又は領収書等について、請求書又は領収書等に記載の「取引先名称」「金額」が通帳に記帳されている。

登録確認機関は、事業の状況を判断をするために、これらの書類を確認することがマニュアルで定められています。これらの書類で確認したいのは、以下の点です。

  • 2019年、2020年の確定申告を行ったか
  • 2018年の対象月以降、通帳を通じた取引をしているか
  • その取引が、事業に関係するものかどうか

そのため、登録確認機関はまず、これらの書類の提出をみなさんにお願いをし、それが準備できないと、「事前確認」ができないとご案内していると思います。

この通帳に関して、申請の際には通帳の口座番号がわかる表紙と中表紙しか必要ないので、それだけで十分だと思われている方がいるのですが、「事前確認」では取引の実態を確認する必要があります。原則として2018年11月~直近までの通帳をご用意いただくことになります。

そうはいっても、「ネットバンクですべて取引をしており通帳が存在しない」とか「取引数があまりにも多くて、2018年11月~の取引を全部出力すると数百ページになる」というケースはどうなるのか。

ご安心ください。これらの書類が存在しない場合には、理由を確認して、「合理的な理由がある」と判断できれば、事前確認をしてよい、ということになっています。先ほどの「通帳が存在しない」とか「多すぎて出力できない」というケースは、「合理的な理由」と判断できるかもしれません。

あるいは、逆に、タクシーの運転手さんやクラブのホスト・ホステスさん、俳優・ダンサーの方など、「個人事業主として報酬を受け取ってるけど、現金取引がほとんどで通帳での振り込みがないんだよ」という方。通帳には、取引がなくても、通帳自体の存在を確認させていただきますが、取引先からの振り込みがなくても、「合理的な理由」があると判断できれば、事前確認を行うことができます。

この「合理的な理由」があるかどうかの判断は、各登録確認機関にゆだねられています。私の事務所であれば、例えば、現金取引の方には日報をご提示いただいたり、出演の日程表シフト表を見せてもらったり、報酬の明細表を見せてもらったりと、いろいろな書類の保管状況を確認して、合理的理由があるかどうかを判断させていただいています。

電子通帳の場合は、事務所にパソコンをもってこられる方であれば、画面での確認を実施いたしますし、ログインした状態の画面のキャプチャ、取引履歴のキャプチャなどでも対応をしております。

ペイペイやスクエアなどの決済サービスをお使いの方の場合は、通帳には「ペイペイ」や「スクエア」など、決済事業者の名前しか表示されず、直接のお客様は出てきません。このような場合も、該当の通帳の記載を見せていただき、たとえば、ペイペイやスクエアなどの決済事業者の売上データなどを見せてもらうことで対応しております。ヤフーショップなどのECストアを利用している場合なども同様に考えることができるでしょう。

確認の流れ

面談の際には、上で述べたマニュアルに照らして、以下のような流れで確認をしてまいります。

  1. 身分証明書と本人の実際の顔を照らし合わせて確認します。
  2. 身分証明書に記載された氏名が確定申告書に記載の氏名と一致するか確認します。
  3. 2018年11月-3月、2019年11月-2020年3月、2020年11月-2021年3月を含む確定申告書の税務署の収受印を確認します。電子申告の場合、プリントアウトされた書面に受領された時間が印字されているか、いない場合は、受信した際のEメール(メール詳細)を確認します。なお、税務署の印については、青色申告会の印はそのまま認めてもよいということになっています。たまに、税理士さんに申告をしていただいている方で税理士さんの印はあるのですが、e-taxのメール詳細がない方がおられます。その場合は、税理士さんに連絡して、提出をお願いしています。
  4. 通帳の2018年11月以降の取引内容を拝見し、売上台帳に記載された取引先への請求書又は領収書があるか、その入出金が通帳に記載されているかを確認します。
  5. 事業復活支援金の制度についての理解度チェック

現金取引で、売上台帳をつけていないという方。毎日の売上のレシートや伝票を整理したノートなどはないでしょうか? 「売上台帳」という名前でなくても、毎日の売上を記録していれば、それが台帳と考えられます。事前確認を受ける際には、「台帳はないんだけど、売上つけてるノートならあるよ」と言って、事前確認を受ける登録確認機関に相談してみてください。
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まとめ

以上、登録確認機関が事前確認をする際に、売上台帳や通帳、請求書や領収書などの提出を求める理由について、説明をしました。これから申請をされる方は、速やかに申請ができるようこの記事を参考にしていただければと思います。

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