R3.4.21 相続登記を義務化する民法・不動産登記法の改正案が可決成立

相続登記を義務化する民法・不動産登記法の改正案が、2021年4月21日、参議院本会議で可決されました。(衆議院は4月1日可決)(国会審議情報

この法律が施行されると、相続によって土地・建物を取得したときは、3年以内に、所有権の移転登記をしなければ、10万円以下の過料が課せられることになります。また、引っ越しや結婚などで、住所や氏が変わった場合についても、2年以内に変更の登記をしないと、5万円以下の過料が課せられることになります。

これまで、会社・法人登記と異なり、不動産の権利に関する登記については、自己責任に任されてきました。そのため、登記を怠ったからといってペナルティが課せられることありませんでした。

しかし、今後は、会社の登記を怠った場合と同様に、裁判所から、登記を怠ったので過料を支払うようにという決定書が送られることになります。裁判所から突然、ご自宅に届いてびっくりする方も増えるのではないかと思います。

なお、肝心の施行日ですが、改正法の附則に下記のように定められております。

第一条

この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第二条中不動産登記法第百三十一条第五項の改正規定及び附則第三十四条の規定公布の日
 二 第二条中不動産登記法の目次の改正規定、同法第十六条第二項の改正規定、同法第四章第三節第二款中第七十四条の前に一条を加える改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の二及び第七十六条の三に係る部分に限る。)、同法第百十九条の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)並びに附則第五条第四項から第六項まで、第六条、第二十二条及び第二十三条の規定 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日
三 第二条中不動産登記法第二十五条第七号の改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の四から第七十六条の六までに係る部分に限る。)、同法第百十九条の次に一条を加える改正規定、同法第百二十条第三項の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分に限る。)並びに附則第五条第七項の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/pdf/t0802040552040.pdf

 少し読みにくいですが、上の「二」のところが、相続登記の義務化に関係する部分で、公布の日から起算して3年以内、「三」のところが、住所や氏の変更に関する登記で、公布の日から起算して5年以内になっています。

通例ですと、国会で可決し、法律が成立した同じ月に公布がされますので、施行の時期は、相続登記義務化が2024年まで。住所移転・氏の変更が2026年まで。実際にペナルティが課せられるのは、住所・氏の変更が2028年、相続登記が2027年あたりになるでしょう。

ご不安がある方は、相続登記に関する唯一の専門家である司法書士まで、ご相談ください。日本司法書士会連合会や各地の司法書士会では、相続登記の義務化に合わせて、相談センターを設置して無料相談を実施しております。