- 2021年2月7日
R3.2.15施行 商業登記規則改正に伴う印鑑の整理
令和3年2月15日の商業登記規則の一部改正に備えた通達が、法務省より1月29日付で発出されております。
脱ハンコの流れを受けて書面申請における一部書類の押印省略、法務局への印鑑届出のオンライン化、会社の登記をオンラインで申請する際に使用できる電子署名の範囲の拡大などが主な内容です。現時点での資料に基づき整理しました。
(なお、以下はあくまでも、令和3年2月7日現在、入手した情報に基づき、当事務所が独自に整理した内容です。)
印鑑・電子署名関係の改正の要点
(1)押印の一部廃止
まず、法令に明確な根拠がないハンコについては押印が不要になります。登記申請書に添付していた原本還付用書面の契印が不要になるほか、印鑑届出の代理人印、再使用証明の申請人印、株主リスト、資本金の額の計上を証する書面、などが押印不要になります。
一方で、商業登記規則第35条第3項は改正されませんでしたので、申請書が2枚以上になる場合には、従前どおりの契印が必要です。
(2)電子署名関係の整理
これまで、オンラインで申請をするためには、法務局が発行した電子署名が必要でしたが、マイナンバーカードのICチップに格納された公的個人認証に基づく電子署名が認められることになりました。
なお、申請書および添付書類については、商業登記規則第102条第1項及び商業登記規則第36条第3項に基づいて、作成者が電子署名をするものとされておりますが、もともと区市町村の印鑑証明書を添付しないで済んでいたものについては、クラウド型の電子署名が認められました。
取締役会議事録等については、従前より、クラウド型電子署名で署名したのち、法務局が発行した会社代表者の電子署名で署名をすれば認められておりましたので、これに会社代表者のマイナンバーカードによる電子署名が加わったという理解をすればよいでしょう
(3)印鑑届出のオンライン化
従前は紙での提出を要していた印鑑届出についてオンラインで提出することが認められるようになりました。法務省が新たに提供する目盛付きの印鑑届出様式を原寸大でプリントアウトし、600dpiの解像度で読み込んで申請するとされています。
また、印鑑証明書の申請もオンラインでマイナンバーカードを使って行うようになるため、これまでのように印鑑カードを発行してもらい、それを法務局に持参して申請するというケースは今後は減っていくものと思われます。
書面で、申請書や添付書類を提出する場合
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オンライン申請で、申請情報や添付情報を提出する場合
申請情報 | (1)法務局発行の商業登記に基づく電子証明書 (2)マイナンバーカードの署名用電子証明書 (3)セコムパスポートforG-ID等(法務大臣の定める電子署名 (規§102条第3項1~3号) (4)司法書士の電子署名(規102条第4項) |
委任情報 | (1)法務局発行の商業登記に基づく電子証明書 (2)マイナンバーカードの署名用電子証明書 (3)セコムパスポートforG-ID等(法務大臣の定める電子署名 (規§102条第3項1~3号) |
就任承諾情報 | 氏名・住所を確認するための規§61条第7項の就任承諾書に該当するもの (1)マイナンバーカードの署名用電子証明書 (2)セコムパスポートforG-ID等(法務大臣の定める電子署名 (規§102条第3項2~3号) |
その他の添付情報 | (1)法務局発行の商業登記に基づく電子証明書 (2)マイナンバーカードの署名用電子証明書 (3)セコムパスポートforG-ID等(法務大臣の定める電子署名 (規§36条4項1~3号) (4)指定公証人電子証明書(規§36条4項第2号ロ) ※区市町村の印鑑証明書の添付を必要とされていないもの (5)その他法務大臣の指定する電子証明書(規§36条4項第2号ハ) クラウド型電子署名 |
オンラインによる印鑑届 | (1)法務局発行の商業登記の電子証明書 (2)マイナンバーカードの署名用電子証明書 (3)セコムパスポートforG-ID等(法務大臣の定める電子署名 (規§106条第3項) |
(令和3年2月7日 文責:司法書士 中村圭吾)
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