韓国 国際私法(一部抜粋)

出所:韓国 国家法令情報センター 翻訳:司法書士・行政書士アデモス事務所)

第36条(婚姻の成立) 

①婚姻の成立要件は各当事者に関し、その本国法を適用する。

②婚姻の方式は、婚姻挙行地法又は一方当事者の本国法による。ただし、大韓民国で婚姻を挙行する場合で、一方当事者が大韓民国の国民であるときは、大韓民国法による。

 第37条(婚姻の一般的効力)

 婚姻の一般的効力は、次の各号に定める法の順位による。

1. 夫婦の同一な本国法

2. 夫婦の同一な常居所地法

3. 夫婦ともっとも密接関連がある場所の法

 第38条(夫婦財産制) 

①夫婦財産制に関し、第37条の規定を準用する。

②夫婦が合意により、次の各号の法のうち、いずれかのものを選択した場合には、夫婦財産制は第1項の規定にかかわらず、その法による。ただし、その合意は、日付と夫婦の記名捺印又は署名がある書面により作成された場合にかぎり、その効力がある。

1.夫婦の一方が国籍を持つ法

2. 夫婦の一方の常居所地法

3.不動産に関する夫婦財産制について、その不動産の所在地法

③外国法による夫婦財産制は、大韓民国で行なった法律行為及び大韓民国にある財産に関し、これを善意の第三者に対抗することができない。その場合、その夫婦財産制によることができないときには、第三者との関係に関し、夫婦財産制は大韓民国の法による。

④外国法により、締結された夫婦財産契約は、大韓民国で登記した場合は、第3項の規定にかかわらず、これを第三者に対抗することができる。

 第39条(離婚)

 離婚に関しては第37条の規定を準用する。ただし、夫婦のうち一方が大韓民国に常居所地がある大韓民国の国民である場合には、離婚は、大韓民国法による。

第40条(婚姻中の親子関係)

①婚姻中の親子関係の成立は、子の出生当時の夫婦の一方の本国法による。

②第1項の場合、夫が子の出生前に死亡したときには、死亡当時の本国法をその本国法とみなす。

 第41条(婚姻外の親子関係)

①婚姻外の親子関係の成立は、子の出生当時の母の本国法による。ただし、父子間の親子関係の成立は、子の出生当時の父の本国法又は現在の子常居所地方によることができる。

②認知は、第1項が定める法のほか、認知当時の認知者の本国法によることができる。

③第1項の場合、父が子の出生前に死亡したときは死亡当時の本国法をその本国法とみなし、第2項の場合、認知者が認知前に死亡したときには、死亡当時の本国法をその本国法とみなす。

 第42条(婚姻外出生者の準正) 

①婚姻外の出生者が婚姻中の出生者とその地位が変動する場合に関しては、その要件である事実の完成当時の父又は母の本国法又は子の常居所地法による。

②第1項の場合、父又は母がその要件である事実が完成される前に死亡したときは、死亡当時の本国法をその本国法とみなす。

第43条(縁組及び離縁) 

縁組及び離縁は、縁組当時の養親の本国法による。

 第44条(同意)

 第41条ないし第43条の規定による親子関係の成立に関し、子の本国法が子又は第三者の承諾や同意を要件としているときには、その要件も備えなければならない。

 第45条(親子間の法律関係)

親子間の法律関係は、父母と子の本国法が、すべて同一な場合にはその法により、そのほかの場合には、子の常居所地法による。

 第46条(扶養)

 ①扶養の義務は、扶養権利者の常居所地法による。ただし、その法によれば、扶養権利者が扶養義務者から扶養を受けることができないときには、当事者の共通の本国法による。

②大韓民国で離婚がなされたり、承認された場合に、離婚した当事者間の扶養義務は第1項の規定にかかわらず、その離婚に関して適用される法による。

③傍系血族間又は姻族間の扶養義務の場合に、扶養義務者は扶養権利者の請求に対して当事者の共通の本国法により、扶養義務がないと主張することができ、そのような法がないときには、扶養義務者の常居所地法により扶養義務がないと主張することができる。

④扶養権利者と扶養義務者がすべて大韓民国の国民であり、扶養義務者が大韓民国に常居所地がある場合には、大韓民国法による。

 第47条(その他の親戚関係)

 親戚関係の成立および親戚関係から発生する権利義務に関してはこの法に特別な規程がない場合には、その当事者の本国法による。

 第48条(後見)

①後見は被後見人の本国法による。

②大韓民国に常居所又は居所がある外国人に対する後見は、次の各号中いずれかに該当するときに限り、大韓民国法による。<2016.1.19改正>

1.その本国法によれば後見開始の原因があっても、その後見事務を行う者がいないか、後見事務を行うものがいても後見事務を行うことができないとき

2.大韓民国において限定後見開始、成年後見開始、特定後見開始及び任意後見監督人選任の審判を受けたとき

3. 上記のほか、被後見人を保護すべき緊急な必要性があるとき

 第49条(相続)

①相続は、死亡当時の被相続人の本国法による。

②被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法のうちいずれかを指定したときには、相続は第1項の規定にかかわらず、その法による。

1.指定当時の被相続人の常居所地がある国家の法。ただし、その指定は被相続人の死亡時までその国家に常居所地を維持した場合にかぎり、その効力がある。

2.不動産に関する相続については、その不動産の所在地法

 第50条(遺言)

①遺言は、遺言当時の遺言者の本国法による。

②遺言の変更又は撤回は、その当時の遺言者の本国法による。

③遺言の方式は、次の各号中、いずれか一つの法による。

1.遺言者が遺言当時又は死亡当時の国籍をもつ国家の法

2.遺言者の遺言当時又は死亡当時の常居所地法

3.遺言当時の行為地法

4.不動産に関する遺言の方式については、その不動産の所在地法

(翻訳日:2021年1月31日)

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