R3.2.15 会社設立のルールが変わります

 現在の制度では、会社を設立するためには、まず会社の代表印をつくり、それを法務局に登録しなければなりません。このルールが、令和3年2月15日の商業登記規則の一部改正により、会社代表印を登録しなくても、会社の設立登記を申請することができるように変わります。

 「それじゃあ、会社の印鑑を押さないで、必要事項を紙に書いていけば、受け付けてもらえるの?」と思われるかもしれませんが、会社の印鑑を登録しなくてもよい、という新ルールが適用されるのは、「電子署名」を使える会社に限った話です。

 実は、会社の設立登記については、今でも、法務局の登記・供託オンライン申請システムをつかって、インターネットで設立の申請をすることができるのですが、このシステムを使うには、「マイナンバーカード」のICチップに入っている電子署名が必要で、その肝心の「マイナンバーカード」自体の普及率が15.5%(令和2年3月時点)と低迷していて、ほとんど使われない状況でした。

 また、代表者の「マイナンバーカード」で、会社を設立したとしても、会社の印鑑の登録は絶対必要とされておれい、会社を設立した後にオンラインで会社の登記手続きをするには、法務省が発行した会社専用の電子署名を別に発行してもらわなければならないことも制約になっていました。

 今回の改正により、会社設立後の登記手続きについても、「マイナンバーカード」による代表者の電子署名だけで、できるようになるのがポイントです。

 日本司法書士会連合会は、この「マイナンバーカード」の電子署名を検証できる専門家団体になっており、新しい会社登記のルールに対応した完全オンラインでの会社登記の申請を目指してます。

 ただ、実際には、会社を設立した後に、不動産を契約したり、銀行口座の開設をするためには、「会社の登記簿謄本や印鑑証明書を提出してください」となるのがまだまだ現実です。ルールが変わっても、しばらくは、会社の印鑑の登録が必要になるかもしれません。

 いずれ、オンラインで本人確認ができ、銀行の口座の出資金が確認できるようになると、スマートフォンさえあれば、会社の設立ができるという時代が来るかもしれません。