R3.2.9 デジタル庁法案について

 政府は2月9日、デジタル庁設置法案などデジタル改革関連6法案を閣議決定し、国会に提出しました。法案は2021年6月施行を目指しておりますが、施行されれば、これまで政府のIT施策を担ってきた内閣官房情報通信技術総合戦略室が、内閣府に新設されるデジタル庁へと格上げされ、デジタル社会の形成に向けた政策立案、各省庁等関係主体との連絡調整を担うことになります。

 デジタル庁設置法案第4条によれば、これまで法務省が担ってきた商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十二条の二第一項、第三項及び第八項の規定による証明(商業登記に基づく電子署名)に関する事務は、法務省だけではなく、デジタル庁との共同所管となります。

 今後、具体的な事務がどうなるかわかりませんが、商業登記に基づく電子署名の発行に関する業務が、従前の印鑑証明書の発行事務と分離され、他の省庁との共同所管となったことは、重要なポイントだと思います。マイナンバーカードのICチップに格納された電子署名を、商業登記の電子署名として認めたことから、将来的には、法務省の電子署名発行事務をマイナポータルに移管することなども検討されていくものと思われます。

 デジタル庁には、他に総務省関係を除く電子委任状の普及促進に関する事務、行政機関・民間機関が活用するデータの標準化、行政機関同士の外部連携、行政機関のもつデータベースの整備などの事務が移管されるため、行政のDX化を考える上で、これまで以上に重要な官庁となっていくでしょう。

 なお、医師、看護師、保育士の3資格については、マイナンバーシステムを管理する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に提供される「機構保存本人確認情報」に含まれることになるため、マイナンバーを使った国家資格情報の確認ができるようになります。

 当事務所では今後も、政府の進めるデジタル・ガバメント、行政のDX化に関する動向をフォローしていきます。