司法書士・行政書士アデモス事務所の中村です。
当事務所では、韓国で取得した不動産の相続登記について、韓国の弁護士、法務士と協力して、相談を受け付けておりますが、最近、韓国での登記に必要となる「不動産登記用登録番号」についての相談をよくいただくようになりました。
不動産登記用登録番号とは
ここからは韓国で不動産を取得して所有者としての登記をするために必要となる「不動産登記用登録番号」の説明です。
韓国では、不動産を登記する際に日本のマイナンバーにあたる「住民登録番号」を登記しています。「住民登録番号」は、韓国内で暮らしている韓国人全員に付与されており、戸籍にあたる家族関係証明書のほか、各種行政手続きで利用されている番号です。
韓国で不動産の所有者として登記をする場合には、かならず、この住民登録番号を申請書に記載しなければなりません。
しかし、法人や外国人には、この番号がつけられていません。それでは、住民登録番号のない会社や外国人はどうしたらいいのか、困ってしまいます。そこで用意されたのが、「登記用登録番号」です。
第48条(登記事項) ② 第1項第5号の権利者に関する事項を記録するときには、権利者の氏名又は名称のほかに、住民登録番号または不動産登記用登録番号と住所または事務所所在地をともに記録しなければならない。
不動産登記法[施行 2020. 8. 5.]
登録番号の申請場所
この不動産登記用登録番号は、申請する人によって、どこで申請するかが異なっており、申請の手続きも違っています。
- 住民登録番号がない在外国民 → 大法院所在地の管轄登記所の登記官
- 法人、外国法人 → 主たる事務所(外国法人は国内事務所)の所在地を管轄する登記所の登記官
- 外国人 → 在留地(国内に在留地がない場合は、大法院所在地)を管轄する地方出入国・外国人官署の長
たとえば、日本で暮らす在日コリアンの人が登記をする場合は、「住民登録番号がない在外国民」にあたります。この場合は、まず、日本国内の領事館で、「在外国民登録」をしたうえで、登記所に直接申請します。
では、日本で暮らす日本人の方が登記をする場合はどうでしょうか。上の事例と違い、外国人にあたりますので、「在外国民登録」は不要となる一方、申請先が、出入国外国人庁に変わります。ちなみに、ソウル出入国外国人庁か、出入国外国人庁世宗路出張所の2か所でしか、受付をしておりません。
申請時に必要となる書類
韓国内で申請をする必要がありますので、直接ではなく、韓国の法務士などの専門家に依頼することが多いと思います。
日本人が不動産登記の登録用番号を申請をする場合は、以下のような書類が必要になります。
- 有効期間内のパスポート(写し)
- 登録番号付与申請書
- 委任状
- 委任者の身分証明書(写し)
委任状を作成する際の注意点です。
委任状はハングルで作成し、「登記登録番号付与及び発行申請に関する一切の件」という文言が委任内容に含まれていなければなりません。
委任状に記載する氏名は、必ず、パスポートと同一でなければならず、委任状にいただく署名もパスポートを発行する際のものと同じでなくてはいけません。
委任状など必要書類一式をそろえて提出すると、出入国外国人庁の場合であれば、おおよそ、20-30分で申請を受理して証明書の発行までしていただけます。
韓国で不動産を取得する場合の手続きなどのご相談は、当事務所までお寄せください。
アデモス事務所代表の中村でした。